松崎健 大皿展

ごあいさつ

 「益子の火を消すな」と言う強い思いから、東日本大震災復興支援事業として「松崎健 大皿展」を開催する運びとなりました。未だに多くの被災者が苦しい避難生活を余儀なくされ、被災地の状況はいまだ復旧以前の段階にあります。栃木県においてもこれまで経験したことのない大きな被害を受け、全国有数の窯業地である益子町では、ほとんどの登り窯が被害を受け、多くの方々の支援により、復興も進みつつありますが、未だに再建の目途が立たない陶芸作家も多く、益子の火が消えようとしている状況です。多くの益子焼陶芸作家の皆様に支えていただいた青木ギャラリーとしても、栃木県が誇る伝統文化の益子焼の復興・振興に協力させていただきたいと考え、世界的にご活躍されている松崎健先生のご協力により、"夢と希望と光と勇気"を与えられるような展示会を開催することが出来ました。松崎先生は、地元の復興活動を支援しながら制作にあたり、自分の持つ陶技、経験等すべてを駆使し、直径90cmの大皿など30点の大作を焼き上げました。是非、松崎先生の益子焼、益子町復興に向けた熱い思いを傾注した作品を多く皆様にご高覧下さいますよう、お願い申し上げます。
 多くの人の協力なしに復興・振興は成し遂げられません。青木ギャラリーから話題を発信し、行動することで復興・振興の大きな力になれれば幸いです。
 なお、本展示会収益の一部につきましては、「益子参考館震災復興基金」及び栃木県の「とちまる基金」等へ寄付させていただきます。
 結びに、今回の展示会開催にあたりご協力いただいた関係者の皆様に感謝申し上げます。

青木ギャラリー
館長 青木勲
(北関東綜合警備保障株式会社代表取締役社長)


祝辞

 春光うららかな季節を迎えましたが、この度、「松崎健 大皿展」が盛大に開催されますことを心からお喜び申し上げます。
 松崎先生は陶芸家として、風格ある作品の制作を続けてこられ、国内外において高い評価を得ております。さらには、後進の育成にも熱心に取り組まれており、その御業績はもちろんのこと、本県文化振興への御功績は誠に大きなものがあり、心からの敬意と感謝の念を表する次第であります。
 あの未曾有の大震災で、益子町は多くの登り窯が損壊するなど大きな被害を受けました。現在、町全体が復興に向け、力強く歩んでおられることと存じますが、そのような中、御自身も被災された松崎先生が、約1年の制作時間を費やし、焼き上げた大皿の展示会を開催されることは、県民に勇気と希望をもたらすとともに、伝統文化の象徴である「益子焼」復興のシンボルになると思います。
 結びに、本展覧会の御成功、また関係者の皆様の御健勝とますますの御活躍をお祈り申し上げ、お祝いの言葉といたします。

栃木県知事 福田富一


あいさつ

 陶芸家にとって二尺を超える大皿を作るということは、一つの目標でもあり、高い技術力がなければ出来ません。「松崎健 大皿展」は準備に1年以上を費やし、これまでの織部や黄瀬戸、志野ばかりでなく化粧泥の手擦り掛けなど、新たな表現方法を加えた直径80センチ以上の大皿だけを30点展示するという稀有な個展です。これからの益子を牽引する陶芸家の一人として期待が高まります。
 さて、ご周知のように益子は昨年3月の東日本大震災で多くの被害を受けました。特に陶芸関係者の被害は甚大なものでしたが、多くの方々のご支援のおかげで登り窯などの復興も進みつつあります。しかし、益子のシンボルともいえる益子参考館の再建はまだ道半ば、被害の規模も大きく財団法人独自での再建は難しい状況です。今回、青木ギャラリーのご厚意で、展覧会の売り上げの一部を益子参考館震災再建基金に寄付していただけることになり、再建に向けて大きな弾みになります。
 最後になりましたが、青木ギャラリー(北関東綜合警備保障株式会社)、ならびに関係各位のご厚情に深く感謝の意を表します。

益子参考館震災再建基金運営委員長
益子町長 大塚朋之

陶芸家 松崎健 ふたたび……

 未曾有の大震災から1年が過ぎようとしていますが、このたびの、氏の力強い活動再開は、私たちにそうしたイメージを抱かせるのではないでしょうか。
 氏の益子町への築窯は、1977年のことですが、以来、あの日まで30有余年……。町のほとんどがそうであったように、氏も、多くの工夫と情熱を傾けてきた、いわば同士ともいうべき窯を失いました。
 復興は、「衰えたり壊れたりしたものをもう一度盛んにすること」とされますが、今般の大皿展の作品群を拝見しますと、従来への回帰ではなく、あの日からの新たな出発、展開を指向されている、僭越ですが、そんな思いがいたします。
 氏は、被災者にいきがいが、そして被災地ににぎわいが、ともにこれまで以上のものとなることを念じながら、これら作品の制作に取り組まれたに違いありません。
 私たちは、1年が経過したいま、あちこちから希望にあふれる槌音を待っています。
 氏のご活躍を祈念して止みません。

平成24年3月吉日

栃木県立美術館長 高津戸忠一


あいさつ

 この度、青木ギャラリーで東日本大震災復興支援特別企画『松崎健大皿展』開催する運びとなりとても嬉しく思います。
 2010年の初夏のころ、青木ギャラリーの青木勲館長より個展の話を頂き、館長と個展の話を詰めていく中で、青木館長が「大皿展をしてみたい」と言われた。
 作陶人生の中で、1回出来るかどうかの「大皿展」をやらせて貰える事に驚き、二つ返事でお引き受けした。ところがことの重大さが、日がたつにつれて重く伸し掛かってきた。
 大皿ともなると、どんな土でも挽ける訳ではなく土探しから始まる。益子の原土も含めて、5種類の粘土を大皿用に準備をした。1枚の大皿は70キロ近い土の塊から挽くので体力勝負になる。30枚の大皿展ともなると60枚以上は水挽きしなくてはならない。60歳代は意欲・気力とも充実しているが、確実に体力の限界が近づいて来ていた。
 5種類の粘土で大皿を如何に見せるか、どのように焼くかが重要で、私にとって焼きが一番が大事で私自身を表現するところである。
 大皿の一回目の窯焚きが3月10日の夕方から火が入り焼き上がりまで3日間要する。そして3月11日2時46分温度計が1000℃を指した時、未曾有の大地震に遭遇する事になる。
 地震で窯からあらゆる物、今まで積み上げて来た経歴さえも崩れ落ちた気がした。放心状態の毎日から、救ってくれたのは、ボランティアの方々の善意、そして国内外からの激励と支援の沢山のメール、私は今日までこの人たちに支えられて来た事に改めて気付いた。
 あの大震災が私に好機をもたらした。地震で崩れた窯を、新しい構造の窯に作り変える事が出来、被災から立ち上がり新たな仕事に向かう気持を貰った。
 私をこれまで支えてくれた皆に感謝と感動を与えられる物を創りたい。

平成24年3月吉日

松崎健