作陶40年記念 窯変 松崎 健 作陶展

―土と炎の芸術―作陶40年記念 「窯変 松崎健 作陶展」

 この度、光悦洞美術館におきまして「松崎健作陶展」を開催する運びとなりました。

 松崎先生は1950年、日本画家・松崎脩己の三男として東京にお生まれになりました。お父様が民芸の収集家だったこともあり、幼い頃から身の回りには江戸時代の瀬戸物や錦絵などがあったといいます。先生の作品の大胆なフォルムや焼成からは、奇抜さではなく美意識の高さが感じられますが、幼少の頃より美しいものが身近に沢山あったと聞いて納得したものです。
 玉川大学芸術学科陶芸専攻卒業後、憧れであった益子の人間国宝 故島岡達三氏に弟子入りされ、そこで技術はもちろん陶芸に対する考え方、物を創る時の姿勢、哲学的なものの大切さを学び1977年、益子に築窯、独立されました。
 志埜・織部・耀変・金志埜・唐津・黄瀬戸と多様な技法を駆使し、奥深い作品を作る松崎健氏ですが、並々ならぬ探究心と、緻密な計算をし、心の中に浮かんだものを作品にしていくのです。しかし松崎氏は「こうした計算しつくした意図が、窯で焼成されて思わぬ結果を生み出す。自分の計算や作為が消えてはじめていいものができるんですね。」とあくまで謙虚におっしゃいます。
 その既成の概念にとらわれない大胆な発想と、独創的なフォルムをもつ作品群は多くの人を魅了し、アメリカやイギリスなど海外でも活躍の場を広げておられる松崎氏。その根底にあるのは、土や炎や釉薬(うわぐすり)と真摯に向き合い、自然の恵みを謙虚に受け止め敬う心であるのでしょう。

光悦洞美術館 館長 小林信夫