表紙/灰被窯変志野扁壷(部分)

ごあいさつ

青葉の候、
皆様方におかれましては、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。
この度、美術画廊IIにおきまして「第24回 松崎健 陶芸展」を開催する運びとなりました。
父は日本画家・松崎脩己氏、兄は漆工芸家・松崎融氏、そして師は民芸陶器の巨匠、人間国宝・島岡達三氏。敬愛する芸術家達の知己を得、益子でのびやかに創作活動を営む松崎健先生は、伝統にとらわれない自由な焼成と闊達な造形を追求し、独自の陶風を開拓、近年ますますその充実度を高められています。
美濃における従来の典型的な志野とは一線を画す、複雑微妙な釉相を呈した窯変志野をはじめ、「叩き」などの技法により器の表情が独特の風合いを見せる豪快雄渾な灰被窯変。殊に入魂の逸品とも言える窯変志野茶碗や手桶水指、花器、扁壷など、今展では渾身の力を振りしぼられた優品約一二〇点を展観いたします。
松崎先生特有の秀抜な焼きと天衣無縫の造形美が結晶した展覧会。
皆様、多数お誘い合わせの上、是非ご来臨賜りますようご案内申し上げます。
平成十五年五月吉日

阪急百貨店 美術部

灰被窯変志野
薪窯を築いてから十年、やっとやりたい事が見えてきた。
始めは焼く事に懸命で、しっかり焼いた事だけで満足する。そして窯出し・・・・
幾度も窯の改造の繰り返しながら今日まできたが、けして焼き易くしたわけではない。
窯焚きがかえって難しくなった。しかし自由にならない窯から、腹を据えて焼く事を学んできた。
私の窯はこの世に二つと無い薪窯ではなかろうか・・・・自分で設計した窯だから窯焚きの定石があるわけが無く、この窯で何を焼きたいのか自問するがなかなか見えてこない。そんな中で無謀とも思えたが志野を焼いてみた。この時の心境を昨年の図録に書いてあるが、結果的にこの志野が新しい私の仕事になりつつある灰被窯変志野である。
今回の個展のために一の間はほとんど志野を裸で窯詰めをした、前回の経験を生かし、長石を吟味し、暁(あかつき)・曙(あけぼの)・茜(あかね)・夕焼け・といったような私の窯変ならではの鮮やかな志野を目指した。
窯の大口で灰被窯変、そして一の間で灰被窯変志野、この二つがこれからの私の仕事の中心をなすだろう。
平成十五年五月 吉日

松崎 健

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