松崎健さんの新しい仕事

 ここ数年の松崎さんの仕事には大きな変化が生まれた。私の許から独立して既に十五年余りになる。今までは何かと島岡の更にさかのぼれば浜田庄司の影がつきまとっていたがここにきてそれらをふっきって松崎自身の焼物を創り出そうとする意欲心に溢れている。
 松崎さんは玉川大学時代から数えれば二十五年にも及ぶ長い勉強の積み重ねがあるからどの様な技術もそれを正しく理解し駆使することが出来る。この点が若い作家に比べて安心して見ていられる点で、しかも四十二才と云う年令は心技共に充実し人生で最も華のある時代であろう。今回の展覧にもその成果が良く現れている。
 願わくばこれらの多方面にわたる新しい傾向の作品群が年をへて熟成し、どれをとっても松崎健の焼物そのものとなる日の近い事を期待してやまない。
島岡 達三
ご挨拶

 松崎健さんを知ったのは、彼が島岡達三先生の門弟として研鑚に励んでいた頃です。
 島岡達三先生の陶芸技術はもとより、人柄を学ぼうと懸命に努力していました。5年間の修行を終え、先生の近くで築窯独立し、島岡先生はしばしば訪れては松崎さんのその後の仕事を注意深く見つめておられました。
 作品は殆どが日常食器でしたが、「民芸の美」を原点とした力強さと健康美を蔵した洗練されたフォルムは、民芸ファンを大いに喜ばしてくれました。特に刻文した鷺絵の器は、松崎独自のモダンな感覚があって私の好きな作品の一つです。その作風は嫌味や飽きを感じさせず、一見不易のようでいても、裡に変化の萌芽が秘められています。数年前、金彩銀彩、一昨年は窯変の作品を発表したのですが、それは長い間、彼の暖めていた創意と独自の技法とが現れたものです。この試みが松崎さんの中ではぐくまれ、どのような作品として発表されるのかこの度の十五回記念展を楽しみにしております。
塚本 雅也
窯に託して

 焼物を志してから早いもので二十五年になる。
 京王百貨店での個展も十五回目となり、振り返ってみればよくぞここまで来れたものだと思い、先を見れば気が遠くなるほど永い…そんな複雑な気持ちがします。
 自分の作りたい物を作り、そして、それを窯に託してしっかり焼く、簡単な事のようですが、この数年薪の窯を焚くようになり、焼く事のこわさ、難しさ、そして面白さを感じているところです。自分の仕事が出来ることが、今は嬉しいのです。
 十年後、二十年後の自分がどんな焼き物を焼いているか楽しみです。
 こんな気持ちを少しでも感じて頂ければ明日への励みになります。
平成四年十一月吉日
松崎 健
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